陶氏診療院

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生と死の陰陽
カテゴリー 生活の知恵
西洋医学の医師が行う余命判断は、時に非常に正確です。その理由は、統計的なデータに基づいていることと、患者の心理的な影響があるからでしょう。

先日、ある患者さんから聞いた話です。お兄さん(68歳)は今年の7月1日に健康診断を受け、肺に影が見つかり、精密検査の結果、すい臓がんが肺と肝臓に転移していることがわかりました。すでに末期状態で、緩和ケア病院が紹介され、余命は1ヶ月と宣告されました。

お兄さんは、自分の好きな釣り道具を整理し、無痛で最期を迎えることを医師に頼みました。そして、自分の終わりを静かに受け入れました。7月29日、彼は一番大切にしていた釣り道具を手放し、翌日にはほとんど症状もないまま、自宅で静かに息を引き取りました。医師の予測通りでした。幸いなことに、彼は苦しまずに済んだため、家族も少しだけ慰められたようです。

一方、地方から来た女性の乳がん患者さんの話です。彼女は2年前に浸潤性乳がんと診断され、肺や肝臓、骨に転移していました。抗がん剤治療を受けた結果、胸水や肺の転移は抑えられたものの、副作用で腹水が出るようになり、施療を受けに来ました。初日は腹囲を測るために、腰を上げることさえできませんでした。しかし、翌日の施療中には、腰が軽く上がり、簡単に腹囲を測ることができるようになりました。西洋医学の医師は緩和治療を勧めましたが、彼女は元気になるために、長時間の車移動で地方から札幌まで来たのです。生きようとする強い気持ちがある限り、余命宣告は意味を持たないと感じます。

生と死は、西洋医学の判断だけで決まるものではなく、患者自身の気持ちに大きく影響されます。もし諦めたり、完全に受け入れたりすると、病気は自然な形で終わりを迎えるでしょう。しかし、健康を取り戻すために努力し続ければ、元気になり、病気も消えていくことがあるのです。

生と死の陰陽は本人の心にあるでしょう。
2024-08-22