陶氏診療院

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健康基準値について
西洋医学の健康基準値

健康診断や人間ドックで用いられる「基準値」とは、健康な人々の検査データを統計的に算出した数値です。これはおおむね20〜60歳までの健康な人の検査結果から、上位2.5%と下位2.5%を除いた残りの95%の範囲を指します。つまり、「現時点で健康とされる人の95%が含まれる範囲」が基準値なのです。

中国医学の視点からの健康

一方で、中国医学には西洋医学のような明確な数値による「健康基準値」は存在しません。中国医学は、個人の体質や全身の状態を総合的に判断し、「陰陽のバランス」が取れているかどうかを重視します。『黄帝内経』では、「陰平陽秘、精神乃ち治(ち)」と記されており、これが中国医学における健康の定義です。つまり、陰陽のバランスが保たれ、精神が安定している状態こそが健康とされるのです。

歴史の中の医の選択

かつて日本に西洋医学を学ぶために渡った中国人に、魯迅と孫文がいます。しかし、彼らは途中で医学をやめ、それぞれ文筆家(魯迅)と革命家(孫文)の道を選びました。彼らの目指したものは、「人を救う」ことでしたが、単なる病気の治療ではなく、社会や国そのものを変えることでした。もし彼らが中国医学を学んでいたら、その行動や選択は違っていたかもしれません。なぜなら、中国医学は個人の健康だけでなく、国家や社会全体の調和をも視野に入れる哲学だからです。

中国医学は哲学である

中国医学の根本には「陰陽の調和」という哲学があります。これは単なる身体の状態だけでなく、人間関係、社会、国家にまで通じる概念です。この哲学を理解することは、健康だけでなく、国を治めることにもつながると考えられています。中国医学における「上医(最も優れた医者)」は、人を治すだけでなく国を治める存在でもあり、それは政治家に通じる役割と言えるかもしれません。

健康反応と誤診の危険性

たとえば、健康な人が寒気を受けると発熱して寒邪を追い出します。これは身体の正常な反応であり、むしろ健康である証拠とも言えます。しかし、現代の医療現場では「熱がある=病気」と判断され、解熱剤が処方されることが少なくありません。これにより、身体が本来持つ自然な治癒反応が妨げられ、風邪が長引くこともあります。

健康の定義を再考する

以上のように、西洋医学における「健康基準値」はあくまで数値的な指標であり、それだけでは人の健康を十分に捉えきれない面もあるということがわかります。数値に現れないバランスや変化を見極める中国医学的視点も、現代においてますます重要になってくるでしょう。
2025-06-29