陶氏診療院

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中国中医学講演会の盛況
8月8日、中国某中医協会の依頼を受け、中国地方都市で中国医学の講演会を行いました。今回の講演会は、海外で活躍する専門家を招き、地元の勉強会の水準を高めることを目的として開催されました。私は西洋医学出身であり、西洋医学で医学博士を取得した後、27年間にわたり中国医学を実践してきました。その中で得られた豊富なデータと臨床成果が、学会準備委員会の期待に沿うものであったと考えられます。

今回の講演会は、私にとって中国で初めて診療院全員(院長と二人の副院長)が揃って参加する機会となりました。テーマは「大健康理念と治未病研究新思考学術講座」で、5名の講師が登壇。私は冒頭に70分の講演を担当し、その後、2名の専門家がそれぞれ「治未病の概念」や「治未病の現状」について60分ずつ講演、最後に臨床分野の専門家2名が30分ずつ講演を行いました。合計4時間を超える充実した内容で、参加者は60名以上、治未病に関心を持つ若い医師が中心でした。

私の発表テーマは、「黄帝内経理論とノーベル賞とのつながりから見る中医学の先見性と予防医学における実用性」でした。まず「未病」について解説しました。

現代医学における未病は、日本を含め、①自覚症状はあるが検査データに異常がない状態、または②異常なデータはあるが症状が出ていない状態、と定義されます。つまり、健康者と患者のいずれにも属さない人々を指し、人口の一部を占める狭い概念です。これは病気の有無を基準とする西洋医学的な発想です。

一方、中国医学では、これに加えてより高次元の視点が取られています。人間の三次元に「時間軸」を加え、未来に発症する可能性のある状態をも「未病」と捉えます。つまり、現在健康であっても、病気を抱えていても、西洋医学的な未病にあたる人も含め、すべての人が「未病」の対象となるのです。

この二つの概念の違いにより、「治未病」の対象も変わってきます。実際、中国の中医病院には「治未病科」が設置されていますが、対象の定義が曖昧であれば混乱を招く恐れがあります。

中国医学は高次元の視点に立ち、低次元的な治療よりも優れた効果を示すことは間違いありません。陶氏診療院でも、この「治未病」の方法を用い、すい臓がん患者が健康を回復した例もあります。

まさに「目から鱗」のような内容となり、今回の講演会は大変盛況でした。終了後の懇親会では講師同士が連絡先を交換し、今後の学術的・臨床的な交流が一層進展することが期待されます。
2025-08-22