500年後、佛祖は東方の大唐でお経を取りに行く人を探していました。その時、孫悟空のことを思い出します。500年もの間、孫悟空の耳には大樹が生い茂っていました。それを見た菩薩は、孫悟空に思いやりを持って尋ねます。「反省と修行はいかがですか？」

孫悟空は「私は間違いました、後悔しました」と答えます。この返答は、小説の流れを変える重要な瞬間でした。今までまとまりのなかった孫悟空が、初めて真剣に反省の言葉を口にしたのです。これは「浪子回頭」（悪人が善人に変わること）を象徴する瞬間でした。著者もこの場面に感動し、以下の詩を挿入しています。

「人心生一念、天地尽皆知、善悪若無報、乾坤必有思。」

（人の心に一念が生じれば、天地はすべてを知る。善悪に報いがなければ、天地は必ずそれを思う。）

佛祖と菩薩も感動し、「必ずお経を取りに行く人を通じて、あなたを救い出します」と約束します。その後、救贖の物語が始まり、孫悟空は解放されることになります。解放される前の孫悟空は革命家であり、世界を破壊しようとしていました。しかし、解放後は運命が変わり、組織の一員として新しい人生を開拓します。心境が変われば、人生も運命も変わるのです。心境が運命を決めるのです。

救贖の過程も素晴らしいものです。

唐僧が五行山を通りかかった時、孫悟空は「師匠、助けてほしい」と叫びます。唐僧はその声を聞き、山の下に押さえつけられた孫悟空を見つけます。唐僧は「何も道具がないので、どうすれば救出できるのか？」と尋ねます。すると、孫悟空はこう答えます。

「私を救助するのではなく、あなた自身を救うのです。私はあなたの心です。山頂に巨石があり、その上に『符』が貼られています。それを外せば、私は出られます。」

唐僧が山頂に登ると、確かに巨石に「符」が刻まれていました。それは観世音菩薩の六字真言「唵嘛呢叭咪吽」でした。500年経ってもその文字は剥がれていませんでした。唐僧は膝を地につけ、天を向いて誓います。

「私は本心でお経を取りに行くことを誓います。この符を剥がさせてください。この弟子を救い、西天でお経を手に入れ、一切の衆生を救います。もし私に一つの雑念があれば、この符を剥がさなくても結構です。私はこれから永遠の滅びを受け入れます。」

人は究極の場面に立たされると、自己価値を進化させ、自我を超える力を得て、困難を乗り越えることができるのです。

小説には多くの菩薩が登場しますが、なぜ唐僧だけが覚えられるのかというと、唐僧が「一切の衆生を救う」ことを誓ったからです。これは正義、天道、そして価値観の進化を象徴する要素です。唐僧が誓いを終えると、巨石の「符」は瞬時に飛び去りました。喜んだ唐僧はすぐに山の下に戻り、孫悟空に「剥がれました」と伝えます。

孫悟空は「良かった、師匠は離れてください。遠くまで離れて、30里、50里では足りない、もっともっと離れてください」と言います。唐僧が百里以上離れたところまで歩くと、山が地滑りを起こし、孫悟空は裸で唐僧の前に現れました。

こうして、五行山の孫悟空は三蔵の弟子となりました。ただし、頭には金環がはめられました。この編の名前は「第十四回 心猿帰正 六賊無踪」です。