陶氏診療院

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夏の果物・西瓜の思い出
夏の果物・西瓜の思い出

上海出身の私にとって、夏の果物といえば、やはり一番は西瓜(すいか)です。水分補給はもちろん、40度近くまで上がる上海の暑さも、西瓜のおかげでずいぶん和らいだものです。

なかでも一番の思い出は、小学校の頃の夏休み。上海に隣接する嘉善市(祖父の故郷)に避暑に行きました。川のそばの一軒家で、昼寝のあとに少し宿題をし、そのあと川で遊んでから、冷たい西瓜を食べる――これが何よりの楽しみでした。

当時の嘉善市には、西瓜を食べる専門店がありました。私たちの住まいは西門の外にあり、そのお店は町の反対側、東門のあたりにありました。子どもにとっては遠い道のりでしたが、西瓜が食べたい一心で、何度もおばに連れられて食べに行きました。

このお店は、スイカの種を集める目的で営業しており、種を回収する代わりに西瓜を安く提供していました。店側は種が手に入り、お客は美味しい西瓜をお得に食べられる――まさにウィンウィンの商売で、しかも西瓜がとても美味しかったのです。

大学卒業後、上海の病院に勤務するようになり、病院からは夏になると一人当たり数十キロの西瓜が配られました。一人暮らしの私は食べきれないほどの量で、毎日午後は西瓜を食べるのが日課でした。それでも食べきれず、傷んでしまう西瓜も出るほどで、本当に贅沢な思い出です。

33年前、北海道に来てからは、毎年西瓜を食べられるとは限らなくなりました。思ったより高く、他の果物と比べて安くはありません。まだ留学中だった頃、静内での花見の際に、思い切ってスーパーで西瓜を買って持って行ったことがあります。花見の最中に西瓜を食べると、周囲が少しざわついて、ちょっと自慢げな気持ちになったのを覚えています。

なぜか日本の西瓜には「高い」というイメージがあり、中国でのように庶民的な夏の果物という印象はありませんでした。でも、それでも西瓜が大好きな気持ちは変わりません。

数年前、患者さんの勧めで、北海道・月形町の柳農園が生産する大玉のクリームスイカ「おつきさまスイカ」をスーパーで見つけました。買って食べてみたら、とても美味しかったのです。「おつきさまスイカ」は、皮が黒く、果肉が鮮やかな黄色をしたクリームスイカで、糖度は11〜12度。さっぱりとした甘さが特徴です。

今年も見つけたので、2個(一個10kg以上)を購入し、毎日朝と夕方に両親と一緒に美味しくいただいています。おかげで、今年の暑い夏も元気に乗り越えられそうです。西瓜を食べると、子どもの頃の思い出がよみがえり、両親との会話も自然と増えてきます。楽しい札幌の短い夏も、あと少しですね。
2025-07-30