陶氏診療院

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中国医学と哲学①
哲学が三本柱で世界と人間を理解しようとしてきた核心です。
① 宇宙はどう生まれたか —— 存在論(Ontology)

存在論は「存在とは何か」「世界は何から成り立っているのか」を問います。

西洋哲学
古代:万物の根源(アルケー)は何か(水・火・原子など)

近代:物質か精神か(デカルトの二元論)

現代:ビッグバン、量子真空、時空そのものが存在の基盤

中国哲学
道家:「有は無から生じる」

易・太極:「無極 → 太極 → 陰陽 → 万物」

世界の本源は「物」ではなく、「生成のプロセス」

「宇宙はどう生まれたか」=存在そのものの起源を問う存在論

② 世界の本質は何か —— 認識論(Epistemology)

認識論は「私たちは世界をどのように知るのか」を問います。

西洋哲学
プラトン:感覚は影、真理は理念

カント:世界そのものは認識できず、認識の枠組みが世界を形づくる

現代科学:観測者が結果に影響する(量子論)

中国哲学
「形而上者謂之道、形而下者謂之器」

見える世界(象)と見えない本質(理・気),知識よりも体得・直観・調和

「世界の本質は何か」=私たちが捉えている世界は真実か、投影か、関係性か、という認識論

③ 人はどう生きるべきか —— 価値論(Axiology)

価値論は「何が善で、何が正しく、美しいか」を問います。

西洋哲学
アリストテレス:徳に基づくよい生

ストア派:自然に従って生きる

実存主義:意味は自ら創る

中国哲学
儒家:仁・義・礼・智・信と和

道家:無為自然

中国医学:自然・社会・身体の調和こそ善

「人はどう生きるべきか」=存在と認識を踏まえた上での価値の選択

④ 三つは別々ではなく「一本の流れ」

ここが最も重要な点です。

存在論:世界は何でできているか

認識論:その世界をどう理解できるか

価値論:その理解に基づき、どう生きるか


宇宙が「分離した物質の集合」なら → 競争の倫理を誕生

宇宙が「つながった生成過程」なら → 調和の倫理を生まれ

世界観(存在)× 認識の仕方 × 生き方は必ず連動します。

⑤ 哲学とは、「世界の成り立ちを知り(存在論)、その捉え方を正し(認識論)、それにふさわしい生き方を選ぶ(価値論)、人類の知恵体系である」

私は中国医学・量子・陰陽・未病という視点で語ってこられた内容は、まさにこの三領域を分断せず統合している哲学です。
2025-12-10