陶氏診療院

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漢字の面白さ:「覚」の正反対の意味
漢字「覚」には、正反対の意味が含まれています。一つは名詞として使われ、「睡覚(睡眠)」のように、目を閉じて眠っている状態を指します。たとえば、『荘子・斉物論』には「且有大覚而後知此其大夢也」という表現があります。一方で、動詞としては「目が覚める」「悟る」などの意味を持ちます。『説文解字』には「覚、悟也」とあり、陶淵明の『帰去来兮辞』には「覚今是而昨非」という表現も見られます。また、「覚醒」や「覚悟」といった言葉にもその意味が含まれています。このように、一つの漢字が正反対の意味を持つことは、漢字の奥深さを感じさせる不思議な点です。

日本語における「覚」は、「覚える」「悟る(覚る)」「目が覚める(覚める)」といった意味で使われます。また、「五感」や感覚に関連する言葉として、「味覚」「視覚」「聴覚」「触覚」「感覚」「知覚」などがあります。ただし、名詞としての「睡眠」を表す意味は日本語では使われていません。

中国と日本で異なる漢字の用法

中国から伝わった漢字は、日本でも多くの本来の意味を保ちながら使われています。しかし、意味が抜け落ちたものや、単語の順番が逆になったものも少なくありません。たとえば、陶淵明の「覚今是而昨非」は、日本では「昨非今是(さくひこんぜ)」という四字熟語になっています。また、中国語では「命運」、日本語では「運命」、中国語の「決議」は日本語の「議決」、中国語の「吟詩」は日本語の「詩吟」など、多くの例があります。他にも、「生死観」→「死生観」、「同工異曲」→「異曲同工」、「開展」→「展開」、「糧食」→「食糧」、「平和」→「和平」、「過濾」→「濾過」、「黒暗」→「暗黒」などが挙げられます。

これらの違いについて、なぜこうした変化が起こるのかは明確ではありません。ただし、日本語では動詞が文末に置かれるのに対し、中国語では主語の直後に動詞が来るといった語順の違いが一因かもしれません。

同じ漢字でも異なる使い方

同じ意味の漢字であっても、中国語と日本語では単語の意味や順番が異なることが多々あります。この違いは興味深いものですが、使用時には注意が必要です。母国語の感覚で誤って使うと、意味が通じないことがあるからです。
2024-11-22