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夏の食事と陰陽の関係
カテゴリー 中国医学
夏といえば、海辺でアイスクリームやかき氷を食べる光景が思い浮かびますが、中国医学の観点では少し異なります。中国医学では、暑さは「陽」、冷たいものは「陰」として捉えられています。

中国医学では、冷たい飲み物を飲むのは高熱が出たときなど、特別な場合だけが推奨されます。これは、陰陽のバランスを保つためです。暑いときに体温を下げるためには、冷たい飲み物よりも常温の飲み物や少し暖かい飲み物が効果的とされています。これは、中国医学が身体の仕組みを深く理解しているためです。

冬と夏という極端な陰陽の気候においては、五臓六腑に流れる血液の状態が異なります。冬は寒さから体を守るために、血液が体表に少なくなり、体表は陰の状態、内臓は陽の状態になります。このとき、大量の血液が内臓にあるため、冷たい食べ物(陰)を摂取しても、温かい内臓(陽)は温度調節に対応できます。実際に、中国北部の地域では冬に冷凍柿や冷凍スイカを食べる習慣がありますが、これは陰陽の調和が実践されている例です。

しかし、夏は血液の流れが逆になります。暑さを発散するために血液は体表に流れ、体表が陽の状態になります。そのため、五臓六腑に流れる血液は少なく、内臓は陰の状態になります。このとき、内臓の温度調節機能は弱くなります。アイスクリームやかき氷など冷たいもの(陰)を食べると、体内全体が陰の状態に傾きます。すると、体は緊急事態として、体表に流れていた血液を呼び戻し、冷たいものを温めるために新陳代謝が促進され、結果として体温が上がります。つまり、暑さを和らげるために冷たいものを食べると、逆に体の代謝が上がり、体温が上昇するのです。この矛盾をどう思いますか?

元気な人なら、夏に少量の冷たい飲み物を摂取することは問題ないかもしれませんが、五臓六腑が虚弱なときに冷たいものを摂りすぎると、お腹を冷やしたり、下痢や体調不良を引き起こす可能性があります。これが、夏の食事における陰陽の関係です。

暑い夏には、子供の頃に一日に何度もシャワーを浴びたり、川で泳いだり、冷たい水に手を入れたりして気持ちよさを感じた思い出があるかもしれません。健康を保つには「陽気」が重要です。夏の陽気を上手に活かし、間違った暑さ対策には気をつけるべきです。
2024-08-18