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人体の造血の場所と時間(IMJ北海道支部ニュースレターNo13:P7-8)
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人体の造血の場所と時間(IMJ北海道支部ニュースレターNo13:P7-8)
カテゴリー 論文発表
日本統合医療学会北海道支部ニュースレター、第13号2020年4月15日発刊しました。
「人体の造血の場所と時間」の文章も掲載して、紹介します。
人体の造血の場所と時間
陶氏診療院・漢方アロマ療養師育成校 医学博士・院長 陶恵栄 副院長 沈怡
去年のニュースレターに掲載した「人体の睡眠はいつ何時間取るか?」の記事の中あったように睡眠の目的の一つは造血です。今回は造血について一緒に勉強しましょう。
血液は人体の新陳代謝の中で一番活発に活動しています。
造血のレベルは生命の質と直接関わり、命にも直接関わります。人は生まれる前に卵黄嚢、肝臓、脾臓、骨髄の順番で造血を担っています。生まれたあとは、安定した温度の造血環境は骨髄ですので、これから言う造血はすべて骨髄造血の話です。
造血幹細胞は前駆細胞と呼ばれる少し成熟した細胞を経て、20回以上の分裂を繰り返し、赤血球や白血球をはじめとする様々な成熟終末細胞(「血球」または「血液細胞」とも言います)へと成長して行きます。このようにして造血幹細胞から血液細胞が造られることを造血と言います。同じ骨髄でも、造血能力は頸骨、大腿骨、肋骨、胸骨、脊髄の順番でどんどん強くなり、年齢から見ると一番造血能力が高いのは脊髄です。出生後から10歳代までは全身の骨の骨髄で造血が行われていますが、20歳前後からは、体の中心部にある胸や腰の骨などの限定された骨髄でのみ、造血が行われるようになります。そのため、様々な伝統療法は脊髄の刺激を中心して自然治癒力を高めることが西洋医学の研究から検証されています。
血液と言うと、有形の血球と無形の血漿に分けられます。有形の血球細胞は血液細胞とも言う、色と形、分化と成熟場所により名前を付けられました。すべての血球細胞は骨髄中の造血幹細胞により、リンパ系細胞と骨髄系細胞に別れ、リンパ系細胞はさらにリンパ球系幹細胞により、抗体生産するBリンパ球細胞と直接体当たり攻撃行くTリンパ球細胞に分けられます。骨髄系細胞は骨髄系幹細胞により、顆粒球系(好酸性多核球、好中性多核球、好塩基性多核球)とマクロファージ、赤血球(核がない)、血小板になります。
それぞれの血液細胞の寿命は数時間から120日です。赤血球は約120日、血小板は約7日、白血球は血中に8時間留まった後、組織中に移行して寿命を全うします。その喪失を補うため、成人の体内では約2,000億個の赤血球、700億個の白血球、1,000億個の血小板が毎日作られています。一番寿命が長いのは赤血球です。体質改善するのに4ヶ月かかるのは、赤血球の寿命を参考にしています。血液細胞と血漿を全身に循環して、身体の隅々の新陳代謝と免疫反応を行い、健康な身体を支えていました。血液細胞の状態は全身の健康に影響があり、逆に身体の異変も血液細胞に現れるので、西洋医学では良く血液検査が利用されます。そのため、血液細胞の異常は病気の原因でもあり結果でもあり、その違いは、臨床の経験から判断されます。
血液を正常に維持するためは造血の仕組みの理解が必要です。造血の場所は分かっても、肝腎な造血の時間は西洋医学の研究でもはっきり出ていないのは事実です。
2017年ノベール生理医学賞はアメリカJeffrey C. Hall博士、Michael Rosbash博士、Michael W. Young博士の3人が受賞しました。内容は体内時計の分子メカニズムの発見です。体内時計の話は、2000年前の中国最古の医学書「黄帝内経」の中の「子午流注」(内臓の働く時間)に人間の五臓六腑のリズムについての明確な記載があり、造血の時間が分かります。西洋医学の研究では、造血のコントロールは造血ホルモンと関係あります。
EPO(Erythropoietin、エリスロポエチン、赤血球の産生を促進する造血因子)は、ドーピングにも使用され問題となっています。合成副腎皮質ホルモン剤プレドニゾロンは、投与により白血球が増加します。血液細胞の増減は腎臓と副腎の機能が関係あることは分かりましたが、その作用がいつ発揮されるかについてはまだ研究報告がありませんでした。
2017年ノベール生理医学賞で半分の答えが見つかりました。24時間いつでも発揮するのではなく、一定の時間に働くことがわかったのです。しかし、それがいつの時間かについての疑問は残っていましたが、中医学の中には明確な答えがあります。腎臓と副腎の働く時間は午後5時から7時です。その時間は安静にして全身の血液を最大限に腎経に回すことで造血のホルモン分泌が最大レベルに達します。修復が必要な人はそれを参考して静かに休むと、十分なホルモンが出せますしその後の造血も可能です。造血の時間は午後7時から午前1時まで、日本の「骨休み」の時間です。子どもや、造血が必要な方はその時間しっかり暗くして、眼を閉じて安静して寝ましょう。4ヶ月続けると、新たな血液が戻ります。もし、午後5時から7時、激しい運動や晩御飯を食べると、全身の血液が筋肉や骨格または消化器官に取られ、腎臓と副腎の働きも低下することは間違いありません。その時間の運動はお勧めできませんし、もちろん晩御飯を食べるのも良くありません。これが「過午不食」(午後過ぎたら食事をしない)の意味するところです。
人体の造血の場所と時間が分かれば、これから自分の健康を守るのは簡単です。もちろん、造血する原料として正しい食事の内容と時間も守って頂きたいと思います。次回はそれを勉強しましょう。
「人体の造血の場所と時間」の文章も掲載して、紹介します。
人体の造血の場所と時間
陶氏診療院・漢方アロマ療養師育成校 医学博士・院長 陶恵栄 副院長 沈怡
去年のニュースレターに掲載した「人体の睡眠はいつ何時間取るか?」の記事の中あったように睡眠の目的の一つは造血です。今回は造血について一緒に勉強しましょう。
血液は人体の新陳代謝の中で一番活発に活動しています。
造血のレベルは生命の質と直接関わり、命にも直接関わります。人は生まれる前に卵黄嚢、肝臓、脾臓、骨髄の順番で造血を担っています。生まれたあとは、安定した温度の造血環境は骨髄ですので、これから言う造血はすべて骨髄造血の話です。
造血幹細胞は前駆細胞と呼ばれる少し成熟した細胞を経て、20回以上の分裂を繰り返し、赤血球や白血球をはじめとする様々な成熟終末細胞(「血球」または「血液細胞」とも言います)へと成長して行きます。このようにして造血幹細胞から血液細胞が造られることを造血と言います。同じ骨髄でも、造血能力は頸骨、大腿骨、肋骨、胸骨、脊髄の順番でどんどん強くなり、年齢から見ると一番造血能力が高いのは脊髄です。出生後から10歳代までは全身の骨の骨髄で造血が行われていますが、20歳前後からは、体の中心部にある胸や腰の骨などの限定された骨髄でのみ、造血が行われるようになります。そのため、様々な伝統療法は脊髄の刺激を中心して自然治癒力を高めることが西洋医学の研究から検証されています。
血液と言うと、有形の血球と無形の血漿に分けられます。有形の血球細胞は血液細胞とも言う、色と形、分化と成熟場所により名前を付けられました。すべての血球細胞は骨髄中の造血幹細胞により、リンパ系細胞と骨髄系細胞に別れ、リンパ系細胞はさらにリンパ球系幹細胞により、抗体生産するBリンパ球細胞と直接体当たり攻撃行くTリンパ球細胞に分けられます。骨髄系細胞は骨髄系幹細胞により、顆粒球系(好酸性多核球、好中性多核球、好塩基性多核球)とマクロファージ、赤血球(核がない)、血小板になります。
それぞれの血液細胞の寿命は数時間から120日です。赤血球は約120日、血小板は約7日、白血球は血中に8時間留まった後、組織中に移行して寿命を全うします。その喪失を補うため、成人の体内では約2,000億個の赤血球、700億個の白血球、1,000億個の血小板が毎日作られています。一番寿命が長いのは赤血球です。体質改善するのに4ヶ月かかるのは、赤血球の寿命を参考にしています。血液細胞と血漿を全身に循環して、身体の隅々の新陳代謝と免疫反応を行い、健康な身体を支えていました。血液細胞の状態は全身の健康に影響があり、逆に身体の異変も血液細胞に現れるので、西洋医学では良く血液検査が利用されます。そのため、血液細胞の異常は病気の原因でもあり結果でもあり、その違いは、臨床の経験から判断されます。
血液を正常に維持するためは造血の仕組みの理解が必要です。造血の場所は分かっても、肝腎な造血の時間は西洋医学の研究でもはっきり出ていないのは事実です。
2017年ノベール生理医学賞はアメリカJeffrey C. Hall博士、Michael Rosbash博士、Michael W. Young博士の3人が受賞しました。内容は体内時計の分子メカニズムの発見です。体内時計の話は、2000年前の中国最古の医学書「黄帝内経」の中の「子午流注」(内臓の働く時間)に人間の五臓六腑のリズムについての明確な記載があり、造血の時間が分かります。西洋医学の研究では、造血のコントロールは造血ホルモンと関係あります。
EPO(Erythropoietin、エリスロポエチン、赤血球の産生を促進する造血因子)は、ドーピングにも使用され問題となっています。合成副腎皮質ホルモン剤プレドニゾロンは、投与により白血球が増加します。血液細胞の増減は腎臓と副腎の機能が関係あることは分かりましたが、その作用がいつ発揮されるかについてはまだ研究報告がありませんでした。
2017年ノベール生理医学賞で半分の答えが見つかりました。24時間いつでも発揮するのではなく、一定の時間に働くことがわかったのです。しかし、それがいつの時間かについての疑問は残っていましたが、中医学の中には明確な答えがあります。腎臓と副腎の働く時間は午後5時から7時です。その時間は安静にして全身の血液を最大限に腎経に回すことで造血のホルモン分泌が最大レベルに達します。修復が必要な人はそれを参考して静かに休むと、十分なホルモンが出せますしその後の造血も可能です。造血の時間は午後7時から午前1時まで、日本の「骨休み」の時間です。子どもや、造血が必要な方はその時間しっかり暗くして、眼を閉じて安静して寝ましょう。4ヶ月続けると、新たな血液が戻ります。もし、午後5時から7時、激しい運動や晩御飯を食べると、全身の血液が筋肉や骨格または消化器官に取られ、腎臓と副腎の働きも低下することは間違いありません。その時間の運動はお勧めできませんし、もちろん晩御飯を食べるのも良くありません。これが「過午不食」(午後過ぎたら食事をしない)の意味するところです。
人体の造血の場所と時間が分かれば、これから自分の健康を守るのは簡単です。もちろん、造血する原料として正しい食事の内容と時間も守って頂きたいと思います。次回はそれを勉強しましょう。
2020-05-05