陶氏診療院

アクセスカウンター


過去ブログはこちらから
2
学問の根底は哲学
人類は誕生以来、「自分はどこから来たのか」「何のために生きているのか」「どこへ向かうのか」、そして「なぜ世界はこうなっているのか」と問い続けてきました。こうした根源的な問いを発する姿勢こそが、人類の学問の根底にある「哲学」なのです。

日本や世界の図書分類法、大学における学問体系を見ても、「哲学」が根幹にあることは明らかです。

これは単に歴史的な起源にとどまらず、思想の構造として、今なお哲学が全体の方向性を定める役割を果たしていることを意味しています。

たとえば、日本の日本十進分類法(NDC)では、0類が「総記」、そして1類が「哲学」にあてられています。哲学が最初に位置づけられているのは偶然ではありません。哲学はすべての知識の基盤であり、他の学問が立脚する前提や視座を提供するものと見なされているからです。

世界最古の大学の一つであるボローニャ大学やオックスフォード大学でも、最初に学ぶのはリベラルアーツ、すなわち「自由七科(文法・修辞・論理・算術・幾何・音楽・天文学)」であり、その中心には「哲学」がありました。

現在でも、日本や欧米の大学では博士号に「Ph.D.(Doctor of Philosophy)」という称号が与えられます。これは、哲学が学問の根底にあることを象徴しています。

学問の発展は、哲学 → 学問分科 → 専門領域(医学など)という流れで進化してきました。もともと「自然哲学(natural philosophy)」として始まった探求は、やがて「自然科学」へと分化し、そこから物理学、化学、生物学、さらには医学や工学へと展開していったのです。

医学もまた、哲学の一分野として始まりました。たとえばヒポクラテスやガレノスは、自然観や人間観に基づいた医療を実践していました。心理学も当初は「心の哲学」として哲学の一分野に位置づけられ、やがて実証主義の影響を受けて独立した学問となりました。

哲学から離れたり、哲学を否定したりして利益のみを追求する学問は、その方向性を誤る危険があります。たとえ科学技術がどれだけ進歩しても、その価値判断・倫理・意味づけは、今なお哲学によって方向づけられているのです。

これからAIの進化により、医学もますます発展していくでしょう。しかしその根底には、常に哲学が存在し、それに従って歩んでいくはずです。
2025-04-27