陶氏診療院

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中国医学では、なぜ痔の治療を頭の「百会」で行うのでしょうか?
中国医学の治療法では、症状が現れている部位とは反対側、あるいは遠く離れた場所にあるツボや部位を治療のポイントとして選ぶことがあります。

たとえば、痔の治療には、頭の頂点にあるツボ「百会(ひゃくえ)」が用いられます。また、幻肢痛(切断された手足に感じる痛み)は、健常な側の手足を使って治療することがあります。頸椎(けいつい)の牽引には、親指を使って引き伸ばす方法もありますし、皮膚疾患は肺や大腸を整えることで改善を目指します。

このような治療の選択は、中国医学が持つ「生命全体をひとつのつながりとしてとらえる」という考え方と深く関係しています。西洋医学が主に症状に直接対処する「対症療法」であるのに対し、中国医学では、症状の原因に着目し、必ずしも患部そのものではなく、別の部位を治療の焦点にするのが特徴です。もちろん、緊急時には対症療法も用いますが、根本的な治療を行う際には、患部から離れた場所を選ぶことが多いのです。

中国医学を学ぶと、多くの病気や症状に対して、自分自身でも対処できるようになります。つまり、症状の早期改善や体質の改善に、自分で取り組めるようになるのです。

私の健康講演では、最後に「ツボを使った緊急対処法」もご紹介しています。これは中国医学ならではの特徴で、「自分で自分を救う」ことができる、とても便利な方法です。ぜひ皆さんも覚えていただき、いざというときに役立ててください。

痔の治療に百会が使われる理由も、この考え方に基づいています。痔と百会は、同じ経絡(エネルギーの流れの道)上にあるため、百会を刺激することで痔の症状が和らぐのです。

また、鼻血が出たときには、自分の両手の中指を組んで引っ張ることで、止血が期待できます。数十秒程度で止まることが多いので、ぜひ試してみてください。

さらに、心筋梗塞や脳梗塞に対する緊急ツボもあり、日常的な予防法も存在します。これらについて詳しく知りたい方は、5月30日および6月1日に開催される講演会に、ぜひご参加ください。会場や時間などの詳細は、当院ホームページの「5〜6月 講演会・勉強会・学会発表」欄をご覧ください。
2025-05-13