陶氏診療院

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児童うつ病の調査
中国のCCTV番組で、北京安定病院が行った9年間にわたる研究報告が紹介されました。「中国児童青少年精神障害流行病学調査」(2012-2021年)によると、73,000人以上の6歳から16歳の子どもたちを対象に調査した結果、青少年の精神障害の発症率は17.5%でした。

番組では、子どもの問題に関する調査結果をもとに、親の指導が重要であることが発表されました。親子のコミュニケーションを改善し、成功事例を紹介することで、子どもたちの本音を引き出す試みも行われました。要するに、子どもたちが求める「愛」と、親が与える「愛」とのギャップを埋めることが、家庭の円満に繋がるということです。

しかし、その根本的な原因には触れられていません。核家族化が進み、家庭の形態が小さくなっていることが一因ではないかと考えられます。

日本に来たばかりの頃(30年前)、上海の雑技団が札幌で公演を行った際に、私は雑技団の指導者と知り合いました。休みの日には、自宅に彼らを招いて、上海のワンタンなど郷土料理を振る舞い、楽しい交流を持ちました。私は一人っ子政策で育った子どもたちが、雑技の厳しい訓練にどのように耐えているのか心配していました。しかし、子どもたちと交流してみると、一人っ子でも年上の子どもが自然にお兄さんやお姉さんの役割を果たし、小さい子の面倒を見ている姿に感動しました。その小さな団体の中には、まるで兄弟のような雰囲気がありました。

しかし、ほとんどの中国の家庭では、一人っ子の教育に問題があり、競争が激しい中、経験の少ない親が自分の成功体験を基に子どもに過度なプレッシャーをかけた結果、うつ病の原因になっていることが多いようです。親たちの時代には、大家族の中で色々な問題が発生しても、家族の絆や支えがあったため、問題が表面化しにくかったのです。しかし、核家族化が進むと、家族内での問題がより顕著になりやすくなります。

これからの社会では、大家族に戻ることは難しいでしょう。だからこそ、親たちは子どもの精神的な教育について学ぶ必要があります。せっかく子どもを育てても、正常に成長しなければ子育ての失敗となり、その数が増え続けることが懸念されます。
2024-09-01