陶氏診療院

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再論「治病」と「治未病」
中国医学の根本思想は「治未病、而不治已(既)病」にあります。

現代的な言葉で言えば、未病(未来に起こりうる病)は治療できるが、すでに完成・診断された病気そのものは本質的には治せない、という考え方です。

これまでの医学教育、そして医療の主流は「病気を治すこと」に重点が置かれてきました。しかし、まず理解すべきなのは、病気と未病は本質的に異なる存在であるという点です。

病気・疾病とは、人類がこれまでの生活の中で、人体の代謝や生命活動に不利な環境や条件にさらされ、誤った食事、睡眠リズムの乱れ、過度な精神的ストレス、過剰な肉体的負荷などが積み重なり、身体から精神、遺伝感染などに至るまで不調が固定化した状態です。

西洋医学では、これらの状態に対して一定の基準のもと「病名」を付けてきましたが、その本質は過去に積み重なった誤りの結果にほかなりません。

しかし、過去は誰であっても変えることができません。
したがって、過去の結果として形成された病気そのものを「完全に元に戻す」ことは本質的に困難です。これまで「病気を治す」と言われてきた医療行為の多くは、実際には病気によって現れた症状を抑える、あるいは改善することでした。

極端な場合には、異常に形成された組織や腫瘍を外科的に切除しますが、病気を生み出した生活環境・条件・習慣・リズムそのものが変わらなければ、抑えられた症状や異常組織は、やがて再生・再発していくのが現実です。

この点を見抜いていた中国医学は、病気そのものではなく、病気を生み出す原因を根本から取り除くことを重視してきました。

生命の流れを、病気が生じる方向から、健康が生まれる方向へと戻す。そうすることで、健康が回復すると同時に、過去の誤りによって現れていた症状も自然に薄れ、時間の経過とともに病気そのものが「おまけのように」消えていく――これが中国医学の治療観です。

真の医学とは、中国医学が示してきたように、**病気が発生する根本から生命を整え、未来の病気を未然に治す「治未病」**であるべきでしょう。

さらに、AI技術の発達により、病気の原因や生活環境の不具合がより明確に可視化される時代が到来しています。人類は今後、「病気を治す時代」から「健康を創る時代」へと本格的に移行していくでしょう。

その先には、120〜150歳の健康寿命も、もはや夢物語ではない未来が見えてきています。
2026-01-12