陶氏診療院

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西洋医学の判断と限界
西洋医学の診断と治療には、多くの利点があります。しかし、その根底にある「医学的判断」とは何か――そこに一つの疑問が生じます。

西洋医学は「病気を治す科学」として発展し、抗生剤や降圧剤など、経験的にも確立した治療法を多く持っています。これらの疾患では治療の見通しが立ちやすく、医師の判断も明確で、治療の参考価値が高いといえるでしょう。

一方で、心理的要素や心身のバランスが深く関わる病に対しては、経験が不足しており、治療の見込みを立てることが難しいのが現状です。特に、患者自身の気持ちや努力を十分に理解していない場合、医師の判断が現実とかけ離れることも少なくありません。

生命とは、血液検査のデータや数値だけで測れるものではありません。低次元の数字では、人の「いのちの力」を正確に判断することは難しいのです。

ある50代の男性患者の例があります。

病院で「胆管がん」と診断され、家族には「余命2週間」と説明されました。患者本人は大きなショックを受けましたが、その判断は、西洋医学的な統計やデータのみに基づいたもので、本人の意志や努力は考慮されていませんでした。

その後、患者は高熱や食欲低下、低タンパク血症、貧血などの症状を抱えながらも、懸命に治療を続けました。基本的な対症療法を行えば改善できる部分もあったのですが、主治医は「保険診療の適応外」として治療を拒み、結果として救命処置も行われませんでした。

それでも患者はあきらめず、努力を続けました。腫瘍マーカーは下がり、炎症の数値も改善。腹痛や黄疸も和らぎ、がんの進行は止まっていました。それにもかかわらず、、西洋医学の枠にとらわれた医師は、なおも「現代日本の保険診療においては高額な治療であるため適応が定められており、今回のケースでは適応とはなりません。今後も適応となることはないと思われます。」説明書を渡して、「科学的判断」を理由に支援を拒んだのです。

訪問看護チームの尽力により、ようやく輸血が実現したのは1か月後でした。あまりにも遅い対応でした。

この事例は、西洋医学の「限界」を物語っています。西洋医学の判断は、あくまで「西洋的治療のみ」を前提としたものです。保険制度の枠内で治療を受けることは安心のように見えても、いざというときに救われない現実もあるのです。

だからこそ、私たちは西洋医学を否定するのではなく、その限界を理解した上で、「補い合う健康管理」を日常から実践することが大切です。自らの生命力を信じ、心と体の調和を保つ――それが、本当の意味での“治未病”につながるのです。
2025-11-14