日本の曜日は、平安時代に弘法大師が『宿曜経』（すくようきょう）とともに伝えたとされています。『宿曜経』には、七曜が「日・月・五星」で構成されていると記されています。この七曜に含まれる各惑星は、「歳星（木星）」「熒惑（火星）」「鎮星（土星）」「太白（金星）」「辰星（水星）」と呼ばれ、それぞれ五行思想と結びついた「木星・火星・土星・金星・水星」という名前も持っています。この五行に基づく名前が、日本語でも訳語として採用されました。

日本の曜日の名前は、太陽・月・惑星に由来しています。それぞれ、日曜日は太陽、月曜日は月、火曜日は火星、水曜日は水星、木曜日は木星、金曜日は金星、土曜日は土星を表します。

仙台天文台の説明によると、現在の私たちは、惑星が太陽を中心に公転していることを知っています。しかし、古代の人々は、地球を中心に太陽や月、肉眼で見える惑星が回っていると考えていました。これらの天体の並び順は、地球からの距離が近い順に「月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星」とされていました。

曜日の順番は、この天動説的な天体観を基に決められています。例えば、1日目の支配星は最も遠い土星とされ、「土星の日」が最初となります。この土星を基点に、1時間ごとに「土星、木星、火星、太陽……」と交代していきます。このサイクルを24時間続けると、2日目の最初の支配星は太陽になり、「太陽の日」となります。この交代を繰り返した結果、1日の支配星は順に「土、日、月、火、水、木、金」という曜日の順番となります。ちなみに、1日を24時間に分ける考え方は、黄道十二星座の影響によってすでに決められていました。

一方で、中国医学における陰陽五行説でも、曜日と同じ漢字（木・火・土・金・水）が使われています。五行は、万物の循環を表す「相生相克（そうじょうそうこく）」の関係があり、この理論は曜日の順番とは直接つながりません。つまり、日本の曜日の順番の由来を考えると、五行と同じ名前を持ちながらも、その順序は五行の関係性を反映しているわけではないことがわかります。

陰陽五行の名前は曜日と共通しているため、日本人はそれを通じて陰陽五行について語る機会が増えた可能性があります。しかし、名前が同じという事実だけでは、五行の深い内容を理解するには至らないかもしれません。それでも、名前を知ることは理解への一歩といえるでしょう。陰陽五行に基づく古代の知恵を学ぶ機会を逃さないためにも、曜日と五行が名前を共有していることを知ることは重要です。