「病気」とは、一般的には身体や心に異常が生じ、健康が損なわれる状態を指しますが、その定義は医学や社会、文化によって異なることがあります。医学的には、病気は病因（原因となるもの）が身体や心理的なシステムに異常を引き起こし、日常生活や機能に支障をきたす状態とされています。たとえば、細菌やウイルスによる感染症、自己免疫反応、遺伝的な異常などが原因で発症することが多いです。

しかし、「病気」の定義は必ずしも一つではありません。人の社会的・文化的背景、歴史的な文脈によっても捉え方が異なります。例えば、ある文化では「病気」とみなされるものが、他の文化では「健康の範疇」に含まれることもあります。また、精神的な不調や慢性的なストレスも現代社会では病気と認識されやすくなっていますが、過去には必ずしもそうではありませんでした。

つまり、「病気」は単に生物学的な現象だけではなく、人間の社会的・文化的な理解によっても定義されているのです。

病気は過去の原因で身体に表す現在の症状で、過去は変わらないため、現在の症状も過去の表したもので、変わらないはずです。しかし、これからの未来は、病気の原因を解除すれば、その原因で表した症状も改善でき、それは中国医学に治未病の考えです。病気は治らないけど、未病は治せます。

中国医学の「治未病」の概念は、病気そのものを治すのではなく、病気になる前に原因を解消し、体調を整えることで未然に防ぐ考え方です。この考え方は非常に高次元で、現代の予防医療にも通じるものです。

病気が「過去の原因から生じた現在の結果」として表れるのは理にかなっています。過去の生活習慣やストレス、感情の積み重ねが現在の症状となり、過去を変えることはできない以上、「すでに表れた病気そのもの」はなかなか消すのが難しいと考えられるのも納得できます。

しかし、中国医学が「未病を治す」としているのは、現在の原因や要因を取り除くことで、将来の健康を改善できるとする希望的な視点です。具体的には、体内の気の流れや血行を改善したり、生活習慣や心身のバランスを整えたりすることで、病気の予兆（未病）を取り除こうとするものです。

この観点から、病気そのものを「治す」というよりも、体質や生活の改善によって「未来の健康状態」をコントロールすることに重点を置いているといえるでしょう。病気が「治りにくい」ことを受け入れつつも、未来の健康を左右できる点が「治未病」の意義です。

また、この考え方は「健康の維持」や「体の調整」を目指すものであり、すでに表れた病気そのものを直接的に治療するのとは違うアプローチです。