陶氏診療院

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風水と科学
カテゴリー 中国医学
中国の風水学は易学に基づいており、勉強を重ねるほど興味深くなります。風水は5000年以上前の中国で発祥した易学由来の哲学であり、自然と人々の暮らしをより良くするための智慧として受け継がれてきました。易学を理解する人にとって、風水は興味深い学問ですが、易学を知らない人には風水が迷信や詐欺のように思えるかもしれません。

実は、「風水」という言葉は、中国の晋の時代に活躍した郭璞(かくはく・276~324年)によって伝えられた『葬経(そうきょう)』という古典書に由来しています。それ以前は、風水は「堪輿(かんよ)」、地理(ちり)、玄術、青烏術、青囊術などと呼ばれていました。紀元前の帝王たちの戦争でも、風水に基づいた勝敗の事例が多く存在します。

中国の風水では、天・人・地の3つの「気」と時間との調和が重視されます。天とは、天体の動き、つまり暦の流れを指し、地とは、大地からのエネルギーを含んだ自然環境や場所、空間を意味します。これらの天の気と地の気に、人の気や過去・現在・未来の時間を加えて「調和」することで、自然からの恩恵を最大限に受けることが風水の理想形とされています。

風水は哲学の一分野と考えることができます。哲学には科学が含まれており、哲学の一部をわかりやすく説明する役割があります。しかし、科学は条件付きの説明に限られており、条件を超えたり複雑になると説明が難しくなります。簡単に言えば、科学は三次元の世界を説明するものであり、三次元を超えるものは科学では説明が困難です。そのため、科学はまず次元を下げ、一つ一つを説明し、最後にまとめて理解するという手法をとります。科学(Science)が日本に紹介された際には「文化の学問」として翻訳され、それが略されて「科学」となりました。

人間の理解も同様です。立体の人間に時間軸を加えると四次元になり、さらに思想や環境、祖先からの遺伝的影響も加えると、多次元(高次元)になります。これらを同時に観察・測定することは科学では困難です。そのため、立体の人体をまず二次元(画像観察技術)に下げ、過去や現在の時間軸を加えることで三次元の診断が可能になりますが、完全に高次元の人間のデータとは異なるでしょう。

風水と科学の関係を理解することで、生命についての理解も深まるかもしれません。風水の勉強もその一助となるでしょう。
2024-06-24