陶氏診療院

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賞味期限と漢方
カテゴリー 中国医学
食品や薬を買う時、賞味期限や消費期限を見ながら買う人が多いと思います。それは新鮮さや新しい者を選ぶ本能ではないでしょうか。

一方、漢方では、古ければ古いほど価値が上がる薬剤が沢山有ります。漢方薬剤の作る過程や漢方の理論に関係が有ります。

期限が付いた者は、生命力または使用価値の短さを表していると思います。そのため、なるべく新しい者(若干生命力が多く残るかなあ)を欲しがる行動も当然です。

短い生命力を持っている食品が、人類に提供する生命力のエネルギーも短いと思います。長生きするため、強い生命力の食材を探すのは、今に始まったことではなく、我々人類の先祖がずっと頑張ってきたことでしょう。

2000年前の中国医学の巨著「黄帝内経」では、品は「上品・中品・下品」に分け、食品が上品に入れ、最高の上品は「種」といいます。確かに種が千年、万年に置いても、環境が良ければ、発芽する種を見ると、生命力が強いことが誰でも驚くでしょう。種は上々品で、常に食べれば、我々の生命力も強くなるでしょう。その代表は玄米です。

漢方の世界では、なるべく薬剤の働きを長持ちさせるため、いろいろな工夫をしています。日干し、乾燥、煨(わい)、煆(たん)、炮(ほう)、炒(しゃ)、炙(しゃく)、烘烤(こうこう)、焙(ばい)、洗(せん)、漂(ひょう)、泡(ほう)、潤(じゅん)、水飛(すいひ、水簸とも書く)、蒸(じょう)、煮(しゃ)、茹(じょ)、淬(すい)、発芽(はつが)、発酵(はっこう)、製霜(せいそう)等などの方法で沢山薬剤を用意します。漢方を処方時、新鮮な薬草と古い薬草の使い分けが有りますが、漢方の薬剤の賞味期限や消費期限など、あまり聞いたことがないです。十年の霊芝より百年の霊芝、十年のプーアル茶より百年のプーアル茶のほうが価値があるのです。

賞味期限や消費期限などを明記した食品が、ある意味での「危険性」(生命力の不十分さ)を言っているかもしれないです。

普段の生活で旬の食材や市場でのばら売りなど、誰でも賞味期限や消費期限を聞かないです。自分の目で見て、手で感じて、時には鼻で匂いを嗅ぎ、五官で判断して選びます。自分の本能を置いといて、袋に印刷された賞味期限や消費期限を気にする、賞味期限や消費期限を判断して商品を選ぶ時代に、とても違和感を感じますが、皆さんはそれについて、どう考えますか。
2013-07-23