陶氏診療院

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睡眠不足がもたらす認知機能への深刻な影響
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アメリカのレーガン大統領は1日4〜5時間しか眠らず、イギリスのサッチャー首相も「睡眠は弱者のもの」と語っていた。しかし十数年後、二人ともアルツハイマー型認知症と診断されたことは、睡眠不足と脳の長期的ダメージの関係を示唆する強い警告となっています。

睡眠不足の危険性を示す象徴的な出来事として、1964年のサンディエゴ科学博覧会で行われた 17歳のランディ・ガードナーの断眠実験 がありました。彼は 260時間(10日20時間) の不眠に挑戦し、スタンフォード大学の睡眠専門家 William Dement 博士 と ジョン・J・ロス海軍少佐 がその状態を監視しました。

実験が進むにつれ、ガードナーには以下のような重度の異常が現れた。
3日目:認知機能の明らかな低下
5日目:記憶障害が顕著になり、同じ質問を何度も繰り返す
11日目:逆順で数を数えるテストで「100→65」までしか進めず激昂
安全上の理由から 264時間で実験は強制中止し、終了後、彼は 14時間連続で睡眠 を取り、ようやく回復しました。

さらに重要なのは、ガードナー自身が 2017年になって明らかにした告白 である。彼は「2007年ごろから深刻な不眠症に苦しみ始め、原因は若い頃の断眠実験にある」と語っていました。断眠による脳へのダメージが、数十年後に慢性不眠として現れた可能性 を示す重要な証言でありました。

その危険性は、ペンシルベニア大学の David Dinges(ディンジス)教授 の研究でも裏付けられていました。

6時間睡眠を10日続けると、認知能力の低下は“24時間徹夜と同じ”、4時間睡眠を続ける人の事故率は6倍に増加→ 飲酒運転と同レベルの危険性、最大の問題は、睡眠不足の人ほど自分の異常に気づかない ことであります。

統計的にも、短時間睡眠(4時間以下)でも正常に機能できる人は0.0001% と極めて少ないです。

この科学的事実を踏まえると、高市早苗首相が2025年11月13日の参議院予算委員会で語った「最近は大体2時間、多くても4時間睡眠」という発言は、国家運営のリスクとして極めて深刻 であります。
2025-11-21