陶氏診療院

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睡眠と免疫
第29回日本統合医療学会学術大会のランチセミナーで、三重大学医学部名誉教授の池田智明先生による「胎児期からの睡眠を整える」というご講演は、非常に勉強になりました。

先生のお話によると、ヒトの睡眠は、成人では約90分周期でノンレム睡眠とレム睡眠が繰り返されるリズムとなり、ノンレム睡眠から始まります。ノンレム睡眠は脳の代謝老廃物を排出し、老化やアルツハイマー型認知症を防ぐ役割があります。一方、レム睡眠では、少し覚醒した状態で夢を見ており、呼吸と心拍がやや乱れますが、筋肉の動きは抑制されています。このレム睡眠は、より質の高いノンレム睡眠へと切り替わるための準備段階であると指摘されていました。

胎児や子どもは、妊娠8週頃から3歳頃まで、約20分間隔でこの睡眠リズムが現れます。一方、ネズミのリズムはなんと約1.5分という驚くべき短さでした。

哺乳類におけるこの睡眠リズムの進化は、脳の発達に極めて重要な役割を果たしてきました。ノンレム睡眠は、エネルギー補給や老廃物の除去に加え、免疫力を強化する機能も持っています。したがって、睡眠障害は免疫力の低下を招きます。免疫力という観点からも、睡眠は健康の礎(いしずえ)であると言えます。

現代において睡眠を妨げる主な原因は、夕食の摂り方や夜間の社会活動、そして睡眠への意識の低さです。良質な睡眠を得るためのコツを理解し、「過午不食(午後を過ぎて食事をしない)」の考え方を参考に、夕食は19時頃を目安に済ませ、早めに就寝して、自ら良質な睡眠を作り出す習慣を身につけましょう。
2025-12-23