陶氏診療院

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ドクター陶の健康コラム・連載・vol.60 40度の高熱と免疫力について
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高陽社の月間コーヨーライフ2025年三月号に、「ドクター陶の健康コラム・連載」。内容を紹介します。

40度の高熱と免疫力について

札幌在住、50代の女性の患者さんが診療院を訪れました。この患者さんは年末に寒気を覚え、正月早々に40度の高熱が2日間続いたそうです。その間、全身の関節や筋肉が痛み、痰が大量に出る症状がありました。しかし、患者さんは薬を飲まず、病院にも行かずに、しっかりと休養し、良質な栄養を摂ることで、高熱は2日で治まりました。
成人にとって40度もの高熱は辛い試練です。患者さんも今回の熱を「人生で最も高い熱」と感じたと話しました。この高熱の原因は病原体による感染が考えられます。特に、突然高熱を発した後、2日間という比較的短期間で自然に解熱したことから、ウイルス感染によるものである可能性が高いと推察されます。

発熱のメカニズムと意義をお話すると、体はウイルスや細菌といった病原体が体内に侵入することで免疫機能が活性化し、病原体を排除しようとして発熱を引き起こします。通常の風邪では38度程度の熱が一般的ですが、40度近い高熱の場合、インフルエンザなどが疑われます。
このような高熱は一部のがん細胞を死滅させる可能性があるとも言われています。実際、この患者さんは乳がんの術後であり、肺への転移も見られたため、この発熱が免疫活性化による、がん細胞への影響まで期待させるものでした。40度の高熱が示す希望でしょう。ただし、2日間の高熱では、がん細胞を完全に消滅させるほどの効果は難しいでしょう。それでも、これまで見られなかった40度の発熱が起きたという事実は、体質が改善されつつあることを示唆しており、今後の希望を感じさせるものです。

一般的に子供は40度の高熱を出すことがあります。その結果、病気からの回復も早い傾向にあります。一方、成人になると、免疫力が低下し、40度もの高熱を出すことは稀です。今回のケースでは、高熱が出たこと自体が、患者さんの体に免疫力が残っていることを示しており、ある種の安心材料となったといえます。
2025-03-07