陶氏診療院

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ドクター陶の健康コラム・新連載・vol.9 食品のロスと人生
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高陽社の月間コーヨーライフ2020年十二月号に、「ドクター陶の健康コラム・新連載」。内容を紹介します。

食品のロスと人生

この地球資源が大切な時代、日本の食品ロス問題はよりいっそう深刻なものとして目立っています。消費者庁「平成28年度消費者白書」によれば、日本の年間の食品由来廃棄物等の発生量は推計2801万トン、そのうち食品ロス(本来はまだ食べられるのにもかかわらず捨てられる食品)の量は642万トンであると報告されました。

この量は世界全体の食料援助量、約320万トン(2014年国連WFP(世界食糧計画))の、約2倍に相当します。FAO(国際連合食糧農業機関)の発表によると、世界では年間13億トン近くもの食品が廃棄されており、これは世界の飢餓人口10億人を十分に養えるほどの量に当たるというのですから、驚きです。

食品ロスが生じる背景には、生産、運送、加工から家庭内廃棄など、さまざまな理由があります。もちろん、生産者は自分の生産した食料品が廃棄されるとは想像もしていないでしょう。しかし、こうした現実は、私たちが生きていく上での何かヒントを与えてくれるはずです。

地球レベルで見ると、食品のロスはエネルギーロスと同じと言えます。エネルギーを失うことは、人々の労働と、その労働時間の人生を失うことと同じと考えられます。

地球レベルの話は、自分と関係ないと思うかもしれません。しかし日本の食品ロスを各家庭のレベルで考えると、その金額は月5000円にもなるそうです。

これは、およそ4時間分の時給、つまり成人の半日の労働時間に相当します。1年で6日分の無駄、そして、それが一生、つまり80年分としたら、人生の480日分もの労働エネルギーを無駄に捨ててしまっていることになります。実に恐ろしいことです。

中国医学は陰陽のバランスを求めます。人は地球の一部で、人と地球のバランスも大事です。近代人類の大量生産・大量消費の行動は、地球の資源を急速に消耗させてきました。地球と人類の未来のため、1人ひとりが食品ロス、自分の人生のロスをなくして、良いバランスを保ちましょう。
2020-12-09