陶氏診療院

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耳石症
カテゴリー 陶氏療法
91歳の父は、9月27日の帰国を控えた20日朝、起床時に突然強いめまいを訴え、起き上がれなくなりました。前夜は母と卓球をするほど元気だっただけに、家族は大変驚き、慌てました。

まず体温や血圧を測りましたが特に異常はなく、両手を前に伸ばしても問題はなく、手足のしびれや痛みもありませんでした。しかし、父は目を開けることができず、動こうとすると強い吐き気と嘔吐がありました。午前中は横になっても症状が改善せず、食事も摂れません。おかゆを少し口にしても再び吐いてしまいました。

父は過去の脳CTで脳梗塞の跡が数か所見つかっており、また10数年前には原因不明の血尿が続いたこともありました。そこで念のため救急車を呼び、札幌の禎心会病院に搬送しました。幸い脳血管の異常は認められず、耳鼻科的な問題による耳石症(良性発作性頭位めまい症)が疑われ、翌週耳鼻科での診察を勧められて帰宅しました。

しかし、父は「病院よりも私の施術を受けたい」と希望し、私は眩暈に関連するツボを中心に全身カッサを行いました。特に反応が強かったのは耳の後ろにある「翳風」のツボで、紫色の瘀血が浮かびました。翌日(日曜日)に私は中国へ出張予定があったため、出発前に針治療を施し、月曜日には姉に耳鼻科受診を頼むよう伝えて出発しました。

木曜日に帰国すると、父は耳鼻科を受診せず、ほとんど寝て過ごしており、体力が落ちていました。土曜日の帰国が危ぶまれる状態でしたので、すぐに再びカッサを行い、毎日の水素吸入も再開しました。ちょうど金曜日には駐札幌中国総領事館主催の中国建国76周年祝賀会があり、父に参加の希望を確認すると「行きたい」と答えました。そのためには起き上がる練習が必要で、水素吸入のために寝室から診療院に移動し、最初はエレベーター、その後は階段を使って徐々に回復を図りました。金曜朝に針治療を行い、その夜は無事に祝賀会へ出席しました。翌土曜日の朝、もう一度針治療を施し、予定通り上海へ帰国。空港に到着後に送られてきた写真の父は、すっかりいつもの姿に戻っていました。

耳石症の発作原因を考えると、高齢であることに加え、長時間の側臥位(横向きでの睡眠)が関与した可能性があると思われます。良性の病気で生命の危険はありませんが、発作時は強いめまいで非常につらい症状です。今回は幸い短期間で回復し、兄弟たちも安心しました。来年も父が元気に札幌を訪れてくれることを祈っています。

補足:「耳石症(良性発作性頭位めまい症、BPPV)」とは、耳の奥にある「耳石」と呼ばれる炭酸カルシウムの結晶が、三半規管に入り込むことでリンパ液の流れを乱し、回転性のめまいを引き起こす病気です。寝返りや起き上がり、シャワーで上を向くなど、特定の頭の動きでめまいが誘発され、通常は1分以内に治まるのが特徴です。診断・治療は耳鼻咽喉科で行われます。
2025-09-28