陶氏診療院

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ドクター陶の健康コラム・連載・vol.27 生命と水と水の素
高陽社の月間コーヨーライフ2022年六月号に、「ドクター陶の健康コラム・連載」。内容を紹介します。

生命と水と水の素

生命の素は水と言われています。宇宙で生命があるかを探す試みにおいては、まず水があるかどうかを探します。

では水の素とは何でしょう?

日本語に、はっきりと答えがありました。水の素は「水素」です。なるほど、宇宙で初めて誕生した分子は、水素分子です。宇宙に一番多い物質で、太陽もほとんどは、水素と、水素からきたヘリウムから成っています。

中国では、水素のことは「氢气」書き、軽い気体という意味です。日本に来て、Hを水素と表現すると知った時、考えてみると奥深いものだなぁと思いました。水を分解すると、水素と酸素になります。水の素は水素。一方で生命も水から誕生しました。つまり生命の素と水素は、深く関わっているということですね。

水素という言葉の意味を考えると、なぜ中国語とは表現が違うのか気になり始めました。その謎は先日、施療に来た北海道大学のドイツ人の先生によって解くことが出来ました。先生の施療では、水素を使います。水素を説明するとき、先生はドイツ語で水素は「水の素」(Wasserstoff)と書くと言いました。なるほど、日本では近代物理学や化学の知識は、ドイツ語から通訳されて伝わったのです。つまり日本では、元素記号Hをドイツ語そのままに訳したのでした。

ちなみに酸素は中国で「氧气」。生命維持に必須の気体、という意味ですが、ドイツ語では「酸の素」(Sauerstoff)と言うそうです。これもそのまま訳されて日本に定着したのです。

こうなると、ドイツでの水素の命名の経緯が気になってきます。物質の本質を名前で表す。漢字にも深い意味がありますが、ドイツ語にもそのような特徴があるのは面白いですね。ドイツ語は英語よりも難しいと聞いたので、いまはまだ勉強する気が起きないのですが(笑)。
2022-06-03