陶氏診療院

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ドクター陶の健康コラム・連載・vol.25 死亡率と致死率
高陽社の月間コーヨーライフ2022年四月号に、「ドクター陶の健康コラム・新連載」。内容を紹介します。

死亡率と致死率

新型コロナウイルス感染症の流行は2年を過ぎ、そろそろこの病気の影響の統計が始まります。その時に「死亡率」や「致死率」といった数字を目にするでしょう。

「死亡率」は総人口のなかで、「一定期間における死亡者数の割合」のことです。例えば、インフルエンザ感染でも死亡者がいます。毎年、比較していくと、死亡者数が数倍増える年がありますが、それをインフルエンザ感染症大流行と言います。新型コロナウイルス感染症においても、各年の死亡者数を比べることで、その傾向が読めてくるでしょう。

次に「致死率」は、「一定期間における、ある病気の患者のなかでの死亡者数の割合」のことです。例えば、コロナウイルスの変異株ごとの流行時期の患者数と死亡者数を計算すると、変異株の致死率が分かります。新しい変異株の軽症化で致死率は下がる。しかし、感染率が上がることで、患者数は増え、全体的に死亡者数が以前の変異株と変わらないことや、増えることもあり得ます。

日本では、一般のインフルエンザ感染の致死率は他国より低いです。2009年春頃、新型インフルエンザ(H1N1)の世界的な流行が発生しました。これにより世界で1万4千人以上の死亡者が出ましたが日本でも同年8月中旬から2010年4月上旬までに2072万人が発症し、199人が亡くなりました。人口10万人あたりの死亡率は0.16で、感染が広がった国のなかでは極めて低く、アメリカやカナダの10分の1ぐらいでした。

今回の新型コロナウイルス感染症の致死率や全人口の割合の死亡率もおそらく低いでしょう。研究により、何か世界に指導できる特徴があれば助かります。一昨年、新型コロナウイルス感染症についてのある研究で、米や魚を中心としたアジア型食生活は、西洋型食生活と比べ、感染者数と死亡者数が低くなる傾向があると発表されました。野菜や魚を食べると重症化しにくいという研究もあります。さらに、すばらしい研究を期待します。
2022-04-02