陶氏診療院

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ドクター陶の健康コラム・連載・vol.34 健康の誤認識
高陽社の月間コーヨーライフ2023年一月号に、「ドクター陶の健康コラム・連載」。内容を紹介します。

健康の誤認識

「自分は健康だ」。ほとんどの人が、そう自信をもって生活しています。特に健康産業に関わっていれば、当然その意識は強くなるでしょう。それは悪いことではありません。しかし、過信や誤認識をすると、大変なことになります。

ある健康関係の商品を取り扱っているNさんが、先日20年振りに診療院を訪ねて来ました。84歳のNさんは昨年の春から体調が思わしくなく、いつか私の診療院でチェックを受けたいと思っていました。そして最近DENBAと出会い、情報誌で私の記事を見たので、話を聞きに来たのです。私とNさんはDENBAの話で盛り上がりました。そしてNさんは、私の施療を再度受け、体の状態をチェックする決心をしました。

施療が始まると、Nさんは強い痛みを感じ、半分でもいいから軽くしてほしいと言いました。20年前にも施療したから痛さは知っているはずですが、私は年齢を考慮して、最小限の施療にしました。施療後、健康状態を示す「波動測定表」を見たNさんはショックを受けました。

20年前と比べて自分の数値が大きく低下していたことが信じられなかったのです。そして、これから体質改善をする、と決意して、翌週の施療も予約していきました。

実は私には、その数値は何も違和感がないものでした。Nさんは肥満になり、3年前には狭心症で冠動脈バイパス手術をしました。3本のステントも入れました。現在も血圧が高いからと、薬を飲んでいました。ごく普通の“生活習慣病の老人”で、なぜ「自分は健康だ」と思っていたのか不思議なほどでした。

つまり、それは本人の健康に対する誤認識なのです。健康のことをたくさん勉強してきたNさんは、その知識だけで、自分は健康だと思い込んでしまっていたのです。

今回ショックを受け、目が覚めたことは良かったと思います。自分の誤認識に気づき、即、生活を改めるなら、決して遅いことはないでしょう。Nさんの体質改善に期待したいと思います。
2023-02-05