陶氏診療院

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ドクター陶の健康コラム・新連載・vol.17 花の体内時計
高陽社の月間コーヨーライフ2021年八月号に、「ドクター陶の健康コラム・新連載」。内容を紹介します。

花の体内時計

ある日、診療所のスタッフが行きつけのランチの店から素敵な薔薇の花をもらって来ました。強い芳香に、真っ赤な花びらが満開でした。

夕方4時、この薔薇の花の写真を撮ろうとしたら、なんと花びらが閉じてしまっていました。

翌朝8時、薔薇はまた満開となり、昨日の蕾も咲いて、良い香りが漂っていました。

植物の花は子孫繁栄のためにあります。その香りで昆虫を誘い、花粉を運んでもらい受粉し、次の世代に情報を伝えます。つまり昆虫が働かない時間帯には匂いを出したり、花びらを開く必要はないのです。もしそうすると、その分のエネルギーは無駄になってしまうでしょう。

すべての生物(動植物)には心があるとも言われていますが、この薔薇を見て納得しました。日々自然の時間に従い、完璧な一生を生きているのです。2017年ノーベル生理医学賞の受賞内容も、この「体内時計」の仕組みについてでした。

一方、地球上の生物の頂点に立った人類はどうでしょう?これまでにも紹介した通り、人間も本来は体内時計に従って生きるのが自然です。「過午不食(かごふしょく)」つまり午後以降は固形物を食べないことを難しいという人もいますが、西洋医学でも、近年この考え方が正しいことが証明されました。それが体内のBMAL1(ビーマルワン)というタンパク質の存在です。BMAL1は、脂肪の合成を促すとともに、新たな脂肪細胞を作り出します。この物質は午後2〜4時頃、最も少なく、夜になると増えるのです。つまり「過午不食」を実践すれば、午前中に食べた物を午後早い時間に消化し終え、夜、無駄な脂肪を合成せずに済むのです。

自然の時間の流れに従う、無駄のない生き方について、花からヒントを頂きませんか?
2021-08-14